2012年8月1日水曜日

坂の上の雲



まことに小さな国が、開花期を迎えようとしてる・・・



・・・という 渡辺 謙 さんの語りで始まる、3年に渡った、


NHKのスペシャルドラマ 坂の上の雲


同名の 司馬 遼太郎 さんの原作小説 を、ほぼ同時に読み終えました。


( 番組冒頭の語りは、小説(8巻)のあとがきを再構成しているんですね。 )


日本の近代史である、日清戦争の開戦前から、日露戦争の終結までを
多面的に捉えようと試みた、司馬 氏の意欲作であり、代表作でもありますね。



私たちは、よく あの時代が良かった!・・・ などと、話したりするのですが、


考えてみれば・・・


歴史は、過去から今に繋がる一本の道のようなものであって、

必然と思われるような事と、偶然と思えるようなことが重なりあって、一本の道になる。








明治維新を経て、近代国家として歩み始めた日本。


その時から、いずれ・・・


他の国と雌雄を決する日が来る事が避けられなかった・・・ のであれば、
近代・・・ というのは、何と残酷なものなのでしょう。


欧米列強による、アジア諸国の植民地化が次々と進められた時代・・・


列島の植民地化を避けるために、必死で集めたなけなしの外貨をかき集め、
大砲、軍艦を買い揃えていく他に道はなく。


この・・・ 「坂の上の雲」は、作品発表時から、人により捉え方が様々あり
司馬 氏は、生前に、何度も映像化の依頼を受けながら、
戦争を賛美しかねない・・・という懸念から、断り続けました。


日露戦争時・・・


もはや、この戦いに敗れれば、国としての独立が危うくなる・・・という乾坤一擲の
日本海海戦において、日本は奇跡的にも圧勝を収めます。

数多くの犠牲を払った日本が、
辛くも侵略の手から逃れることになった、独立を守った、その瞬間でもありました。


しかし・・・


戦いに勝った!という、その酔い、列強と肩を並べた自負を感じ始めた
その時から、すでに、その次の戦争へ向けての足音が聞こえ始めてもいました。



私は、この文庫本の7巻に収められている、宮古島の話や
正岡子規と、その家族にかかわる挿話が印象に残っていて、
よくある、戦争ものの小説や、竜馬がゆく・・・のようなヒーロー伝とは
違った印象を受けます。

スペシャルドラマの印象は・・・

メロドラマになりがちな、大河ドラマとは予算、規模からして違っていますし、
大変、よく出来ているけれど、緻密な筆致による小説版からみれば、
ダイジェスト版という印象を受けるのはやむを得ず、語り足りていない部分に、
やや戦争賛美とも、取られかねない印象を受ける気がします。



それにしても・・・


晩年の 秋山 好古 さん の大らかさは、どうしたら出てくるものでしょう・・・

番組の冒頭の語りにもあったような

これほど、楽天的な時代もない・・・ を体現されていたように思えてきます。



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